4 min read

grit.JOURNAL Vol.019

grit.JOURNAL Vol.019「髪色は、明るさより『濁り』で印象が変わる。」アイキャッチ

髪色は、明るさより『濁り』で印象が変わる。

同じくらいの明るさなのに、印象が違うことがあります。

美容室で髪色を相談するとき、よく基準になるのが「明るくしたい」「暗くしたい」という言葉です。

もちろん、明るさは髪色の印象を決める大切な要素です。

でも、同じくらいの明るさに見える二つの髪色を並べると、片方はやわらかく、もう片方は少し重く見えることがあります。

ベージュなのに、透明感がある。

ブラウンなのに、軽く見える。

反対に、明るくしているのに、どこか硬く見える。

この違いを考えるとき、美容師が見ているもののひとつが、色の「濁り」です。

髪色は、明るさだけで見えているわけではありません。

髪色の見え方には、明るさだけではなく、色味の強さや重なり方が関係しています。

赤みがどのくらい残っているか。

黄みをどこまで抑えているか。

グレーやブルーをどのくらい重ねているか。

元の髪にある色と、今回入れる色がどう混ざるか。

そうした要素が重なることで、色が澄んで見えたり、少しくすんで見えたりします。

ここでいう「濁り」は、悪い意味ではありません。

濁りを少なくすれば、光を通すような軽い印象に見えやすい。

少し濁りを加えると、落ち着きや深さが生まれやすい。

大切なのは、濁っているか、濁っていないかではなく、その人に必要な濁り方になっているかなんですよね。

以前、「髪型を変えなくても、分け目で印象は変わる。」と書きました。

分け目が「位置」で印象を動かすなら、髪色は「色の重なり」で印象を動かします。

透明感がある色と、落ち着いて見える色。

「透明感のある髪色にしたい」という相談は、とても多いです。

透明感という言葉から、明るい髪色を想像する方もいるかもしれません。

でも、暗めの髪色でも、色の濁りを調整すれば軽く見せることはできます。

反対に、明るい髪色でも、いくつもの色味が重なりすぎると、少し重く見えることがあります。

透明感が似合う人。

少しくすんだ落ち着いた色が似合う人。

同じ人でも、服装や季節、肌の見え方によって、ちょうどいいバランスは変わります。

やわらかく見せたいのか。

落ち着いて見せたいのか。

顔色を明るく見せたいのか。

髪色の明るさを決める前に、まずどんな印象に見せたいかを考えると、選ぶ色も変わってきます。

ベージュ、グレージュ、ブラウン。名前だけでは決まりません。

ヘアカラーには、たくさんの名前があります。

ミルクティーベージュ。

オリーブグレージュ。

ショコラブラウン。

写真を見て「この色にしたい」と思うきっかけとして、色の名前は分かりやすいものです。

ただ、同じ名前のカラーでも、仕上がりが同じになるとは限りません。

元の髪の明るさ。

これまでのカラー履歴。

髪に残っている赤みや黄み。

髪の太さや、光の当たり方。

それらによって、同じ薬剤を使っても見え方は変わります。

だから僕は、色の名前をそのまま再現するというより、写真のどこを気に入っているのかを見るようにしています。

明るさなのか。

赤みの少なさなのか。

光に当たったときの透け方なのか。

名前より、見え方を共有する。

その方が、仕上がりのイメージは合わせやすくなります。

ブリーチをすれば、透明感が出るとは限りません。

透明感のある色をつくるために、ブリーチが必要な場合はあります。

髪に残っている色を明るくすることで、表現できる色の幅が広がるからです。

ただ、ブリーチをしたからといって、自動的にきれいな透明感が出るわけではありません。

以前、「複雑履歴ブリーチは、『明るくする技術』ではない。」という話を書きました。

過去のカラーや縮毛矯正の履歴がある髪は、場所によって明るくなり方が違うことがあります。

その状態を見ずに明るさだけを追うと、色の濁りやムラにつながることもあります。

必要なのは、ただ明るくすることではなく、今の髪の状態で、どこまで澄んだ色をつくれるかを判断することです。

透明感と、髪への負担。

希望する色と、続けやすさ。

その両方を考えながら、色の重なりを整えていきます。

美容室では、色の名前より「どう見えたいか」を伝えてください。

カラーを相談するとき、専門的な言葉を用意する必要はありません。

やわらかく見せたい。

落ち着いて見せたい。

肌がくすんで見えないようにしたい。

仕事で浮かない範囲で、少し軽く見せたい。

その言葉があれば、明るさだけではなく、色味や濁り方まで含めて考えることができます。

以前、「似合わなくなったのではなく、似合わせる場所が変わっただけ。」と書きました。

髪色も同じです。

昔似合っていた色をやめるのではなく、今の自分に合わせて明るさや濁りを少し調整する。

大きく変えなくても、それだけで顔まわりの見え方が自然になることがあります。

髪色は、明るいか暗いかだけではありません。

どのくらい澄ませるか。

どのくらい落ち着かせるか。

その小さな調整が、その人らしい印象につながるのだと思います。

次回予告

次回は、

「髪のツヤは、光らせることより、乱れを減らすこと。」

について書こうと思います。

オイルをつけても、なぜかツヤが出ない。

反対に、何もつけていないのに、きれいに見える髪がある。

次回は、美容師として考えている「ツヤと髪の面の整い方」について書いてみようと思います。

grit. は grit.HAIR|+ と grit.EXECUTIVE、2つの専門サービスを展開しています。