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grit.JOURNAL Vol.020

grit.JOURNAL Vol.020「髪のツヤは、光らせることより、乱れを減らすこと。」アイキャッチ

髪のツヤは、光らせることより、乱れを減らすこと。

オイルをつけても、ツヤが出ない日があります。

髪をきれいに見せたいとき、まず思い浮かぶのはオイルやトリートメントかもしれません。

毛先になじませると、手触りがやわらかくなり、少し光も出る。

それでも鏡を見ると、なぜか思ったほどツヤが見えないことがあります。

反対に、たくさん何かをつけているようには見えないのに、自然にきれいに見える髪もあります。

この違いを考えるとき、美容師として見るのは、髪がどのくらい光っているかだけではありません。

髪の表面が、どのくらいそろっているか。

ツヤは何かを足してつくるものというより、光をばらつかせる乱れを減らした結果として見えてくることがあるんですよね。

ツヤは、「光の量」より「光がそろって返るか」。

髪一本一本の向きや表面がそろっていると、当たった光はまとまって見えやすくなります。

反対に、細かな毛が浮いていたり、毛先がいろいろな方向を向いていたりすると、光は散って見えます。

同じ髪色でも、面が整っている部分は明るく、なめらかに見える。

表面が乱れている部分は、少し白っぽく、乾いて見えることがあります。

前回、「髪色は、明るさより『濁り』で印象が変わる。」と書きました。

髪色が色の重なりで印象を変えるなら、ツヤは髪の面に光がどう乗るかで印象を変えます。

暗い髪だけがツヤっぽく見えるわけでも、明るい髪だからツヤが出ないわけでもありません。

まず大切なのは、光らせることより、光がそろって見える状態をつくることです。

髪の表面が乱れる理由は、一つではありません。

表面の乱れというと、すぐにダメージを想像する方も多いと思います。

もちろん、カラーやブリーチ、熱の積み重ねによって、髪が乾きやすくなったり、毛先がまとまりにくくなったりすることはあります。

ただ、ツヤが見えにくい理由はダメージだけではありません。

もともとの髪のうねり。

根元から生えてくる方向。

乾かす途中でついた毛流れ。

長さや量のバランスによって浮きやすくなった表面の髪。

そうしたものが重なって、髪の面は少しずつ乱れます。

以前、「複雑履歴ブリーチは、『明るくする技術』ではない。」と書きました。

髪の履歴が場所によって違えば、手触りや光の見え方も均一ではありません。

だから、ツヤがないと感じたときも、ただオイルを増やすのではなく、どこが、なぜ乱れて見えるのかを見ていく必要があります。

オイルは、ツヤをつくるより、整えた面を保つために。

オイルがいらない、という話ではありません。

乾燥しやすい毛先をまとめたり、細かな毛の広がりを抑えたり、手触りを整えたり。

髪の状態に合った量を使えば、とても役に立つものです。

ただ、表面が大きく乱れたままオイルだけを重ねると、ツヤというより重さが先に見えることがあります。

根元はぺたっとしているのに、毛先はまだ広がっている。

触るとなめらかなのに、見た目はまとまって見えない。

そんなときは、量を足す前に、乾かし方や毛流れを一度整えてみる。

オイルは、乱れを隠すために厚く重ねるものではなく、整えた髪の面を最後に支えるものくらいに考えると使いやすくなります。

自宅では、乾かし方だけでも見え方が変わります。

毎日の中で試しやすいのは、ドライヤーの風を当てる方向です。

髪を下から持ち上げるように乾かし続けると、表面の細かな毛が浮きやすくなることがあります。

根元を先に乾かし、最後は根元から毛先へ向かって風を通す。

ブラシを使わなくても、手ぐしで毛流れをそろえながら乾かすだけで、光の見え方が変わることがあります。

アイロンを使うなら、何度も強く挟むより、必要な場所に無理のない温度で一度通す。

そして、仕上げに少量のオイルを手のひらへよく広げ、内側と毛先からなじませる。

表面は、手に残った分で軽く整える程度でも十分なことがあります。

以前、「髪型は、セットした瞬間より、何もしない日に差が出る。」と書きました。

ツヤも同じで、美容室で仕上げた瞬間だけ光っていればいいわけではありません。

毎日無理なく整えられる方法の方が、髪とは長く付き合いやすいと思っています。

美容室で考えるのは、ツヤを足すことより、乱れを減らすこと。

ツヤがほしいという相談に対して、答えがいつも同じ施術になるわけではありません。

毛先の厚みを整えるカットが必要なこともあります。

量を減らしすぎて浮いている部分を、少しずつ育てた方がいいこともあります。

カラーの履歴を見直したり、トリートメントで手触りを補ったり、うねりに対して別の方法を考えたりすることもあります。

大切なのは、ツヤという言葉だけで施術を決めないことです。

どこが乾いて見えるのか。

朝、どの部分が広がるのか。

何もしない日は、どんな状態になるのか。

その話を聞きながら、今の髪にある乱れを少しずつ減らしていく。

きれいな髪は、強く光っている髪とは限りません。

毛流れが自然につながり、表面が落ち着き、その人の髪らしく光がそろっている。

そのくらいのツヤの方が、日常の中では自然にきれいに見えることも多いんですよね。

オイルをもう一度足す前に、まず乱れている場所を見てみる。

髪のツヤを考えるとき、そこから始めてもいいと思います。

次回予告

次回は、

「髪がまとまらない日は、毛先より根元を見る。」

について書こうと思います。

毛先がはねると、つい毛先だけを濡らしたり、アイロンで直したりしたくなります。

でも、その動きをつくっている原因が、根元のつぶれや生え方にあることもあります。

次回は、美容師として見ている「毛先の動きと根元の方向」について書いてみようと思います。

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