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grit.JOURNAL Vol.013|髪型は、セットした瞬間より、何もしない日に差が出る。

美容室を出る瞬間がきれいなのは、当たり前なんですよね。

美容室から帰るとき、髪がきれいなのは当然です。

僕らが乾かして、アイロンを入れて、スタイリング剤をつけて仕上げているので。

でも、本当にその髪型と付き合うのは、翌日からなんですよね。

朝起きて、自分で乾かす。仕事へ行く。雨の日もある。時間がなくてアイロンを使えない日もある。休日は何もつけたくない日もある。

そういう「普通の日」にどう見えるかの方が、実はずっと大事だと思っています。

「普段どうしていますか?」と、必ず聞くようにしています。

カウンセリングでは、朝どのくらい髪に時間を使えるか、アイロンやワックスを使うか、結ぶことが多いか、仕事中に髪型の制限があるか、といったことを聞いています。

世間話でも好みの確認でもなくて、家に帰ってからその髪型を再現できるかを考えるための情報なんですよね。

毎朝20分セットできる人と、5分しか使えない人に、同じ髪型を提案するのが正解とは限りません。

写真が悪いわけじゃなくて、生活に合うかどうかなんですよね。

SNSには、きれいに巻かれたレイヤーや、しっかりスタイリングされたメンズヘアがたくさんあります。

仕上がり自体は本当に魅力的だと思います。

ただ、その写真を再現するために毎朝アイロンやスタイリングが必要なら、それも含めて「その髪型」なんですよね。

写真が悪いんじゃなくて、自分の生活と合うかどうかの話。

「写真では好きだけど、毎朝そこまでセットしない」なら、その人の生活に合わせて少し設計を変える。

それも似合わせのひとつだと思っています。

以前、**「似合わなくなったのではなく、似合わせる場所が変わっただけ。」**という話も書きましたが、似合わせは見た目だけでなく、今の生活に合わせることでもあるんですよね。

カットのとき、僕が見ているのは「明日から」です。

乾かしただけで毛先がどこへ落ちるか。

顔まわりが何もしなくても邪魔にならないか。

レイヤーを入れすぎて広がらないか。

毛量を減らしすぎて、数週間後に扱いづらくならないか。

結んだときに顔まわりがどう残るか。

メンズなら、スタイリング剤なしでもシルエットが崩れすぎないか。

今日きれいに見えるかだけじゃなくて、明日からどうなるかを見ている。

それが、カットしているときにずっと考えていることです。

以前、**「レイヤーカットは、長さより『位置』で決まる。」**という記事でも書きましたが、レイヤーも入れれば入れるほどいいわけではありません。

その人が普段どう扱うのかまで考えて、位置や量を決めることが大切だと思っています。

何もしない日があっても、崩れすぎない髪型でいい。

「毎日きちんとセットしましょう」とは言いません。

疲れている日、寝坊した日、休日、子育てや仕事で時間がない朝。

そういう日は誰にでもあります。

だから、何もしなくても100点を目指すというより、何もしない日でも大きく崩れない髪型をつくる。

毎日頑張らないと成立しない髪型より、生活の中で無理なく続く髪型。

grit.が大事にしているのは、そちらです。

「できないこと」を伝えるのは、わがままじゃありません。

次に美容室へ行ったとき、「この髪型にしたい」だけでなく、

「普段はほとんどセットしません」

「朝は5分くらいしか髪に使えません」

「休日は何もつけたくありません」

そんなことも、ぜひ伝えてみてください。

できないこと、やりたくないことを話すのは、わがままではありません。

むしろ、それが分かった方が、その人に合う髪型を設計しやすいんですよね。

髪型は、美容室を出る瞬間のためにつくるものじゃない。

その人が毎日過ごす時間の中で、無理なく続いていくことまで含めて、髪型だと思っています。


次回予告

次回は、**「姿勢は、服より先にシルエットを変える。」**というテーマで書こうと思います。

同じ服を着ていても、立ち方や肩の位置が少し違うだけで、見え方は変わります。

髪や服だけではなく、身体まで含めて「その人の印象」を考えるということについて、次回は書いてみようと思います。

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