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grit.JOURNAL Vol.012

第一印象は、横顔で決まる。

鏡の中の自分と、人から見える自分は、実は違う。

鏡を見るとき、多くの人は正面から自分を見ています。

前髪を直すときも、髪をセットするときも、基本的には正面なんですよね。

でも、実際に人から見られているのは、正面だけじゃありません。

会話しているとき。
歩いているとき。
仕事をしているとき。
ふと横を向いたとき。

自分ではあまり確認しない横顔や斜めからの姿を、まわりの人は案外自然に見ています。

美容師をしていると、この「自分が見ている自分」と「人から見えている自分」の違いを感じることがよくあります。

施術中、僕は正面だけを見ていません。

美容師は、正面だけを見て髪を切っているわけではありません。

カットの間、お客様のまわりを動きながら、前髪の落ちる位置、顔まわりの毛の始まる位置、頬や顎とのバランス、後頭部の丸み、トップの高さ、襟足や首とのつながりまで、横から、斜めから、後ろから確認しています。

正面ではきれいに見えていても、横から見ると少し重く見えることがある。

逆に、顔まわりが少し変わるだけで、横から見たときの印象がすっきりすることもあるんですよね。

髪型は、正面だけで完成するものではないんだと思います。

横顔の印象は、顔立ちだけで決まるわけじゃない。

「横顔」というと、鼻の高さや顎のラインなど、顔そのものの話だと思われるかもしれません。

でも、僕が見ているのはそこだけではありません。

髪が顔のまわりにどう落ちるか。

どこにボリュームがあるか。

首がどう見えるか。

前髪と顔まわりがどうつながっているか。

こうした髪のバランスによって、横から見た印象はかなり変わります。

骨格を変えるということではなく、今あるものが自然にきれいに見える位置を探す。

僕はそこを大事にしています。

変えるのは、髪型じゃなくて「位置」。

以前、**「レイヤーカットは、長さより『位置』で決まる。」**というJOURNALを書きましたが、横顔もそれに近いところがあります。

大きく短くしたり、流行の髪型に変えたりする必要はありません。

前髪の幅を少し変える。

顔まわりを始める位置を少し変える。

レイヤーの高さを調整する。

トップや後頭部のボリュームを整える。

襟足の見え方を少し変える。

そのくらいの数センチ、時には数ミリの調整でも、横から見た印象は変わってきます。

前回の**「似合わなくなったのではなく、似合わせる場所が変わっただけ。」**という話ともつながりますが、髪型そのものを疑う前に、今の自分に合う位置へ少し調整してみる。

それだけで、また自然になじむことがあるんですよね。

一度、自分の横顔を撮ってみる。

美容室へ行く前に、ひとつ試してほしいことがあります。

スマートフォンで、自分の横顔を一度撮ってみてください。

普段鏡で見ている正面ではなく、真横や斜め45度くらいから。

きれいに撮る必要はありません。

「なんとなくここが重く見える」

「顔まわりがもう少しあった方が好きかもしれない」

「首まわりをもう少しすっきり見せたい」

そんな小さな違和感を見つけるだけで十分です。

そして美容室では、

「この髪型にしてください」

だけではなく、

「横から見たときの、ここが少し気になります」

と伝えてみてください。

その「なんとなく気になる」が、似合わせを考えるための大切な材料になります。

正面だけじゃなく、横顔まで。髪だけじゃなく、その人全体を。

髪だけでなく、眉、姿勢、身体、服まで含めて、その人の印象はつくられていると思っています。

正面だけではなく、横顔。

髪だけではなく、その人全体。

一部分を派手に変えるのではなく、今の自分に合うバランスを少しずつ整えていく。

その積み重ねの方が、大きく変えることよりも自然にその人らしさにつながっていく。

僕が大事にしているのは、そういう考え方です。


次回予告|grit.JOURNAL Vol.013

「後ろ姿は、自分ではいちばん見えていない。」

鏡を見るときも、写真を撮るときも、自分が確認するのはほとんど正面。

でも、人から見られている自分には、当然「後ろ姿」もあります。

後頭部のシルエット、襟足、首まわり。そして姿勢。

自分ではなかなか見ることのできない場所に、その人の印象はどう表れるのか。

次回は「後ろ姿」という視点から書いてみようと思います。


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