grit.JOURNAL Vol.024

レイヤーカットというと、

「動きが出る」
「軽く見える」
「顔まわりが作りやすい」

そんなイメージを持っている方が多いと思います。

もちろん、それもレイヤーの良さです。

でも僕がレイヤーを入れるときに考えているのは、切ったその日の仕上がりだけではありません。

1か月後、2か月後に、この髪がどう伸びていくか。

実はここに、レイヤーカットの差が出ると思っています。

レイヤーは「短い毛を作ること」ではない。

レイヤーは簡単に言えば、髪に長短をつけるカットです。

ただ、短い部分をたくさん作れば動きが出る、というものではありません。

どの高さから入れるのか。

顔まわりをどこに落とすのか。

表面と内側をどうつなぐのか。

そして、毛先にどれくらい重さを残すのか。

この位置関係によって、同じ長さの髪でも見え方はかなり変わります。

以前のJOURNALでも、**「レイヤーカットは、長さより『位置』で決まる。」**という話を書きました。

今回もう一つ伝えたいのは、その「位置」は、伸びた後のことまで考えて決める必要があるということです。

切った直後は、ある程度きれいに見せられる。

サロンでは、カットしたあとに乾かして、必要ならアイロンを入れて仕上げます。

だから、その瞬間だけを見ればレイヤーはきれいに見えやすい。

でも、お客様がその髪で過ごす時間のほとんどは、サロンの外です。

朝、自分で乾かしたとき。

アイロンを簡単に通しただけの日。

何もしない日。

そして、カットから数週間経ったとき。

僕が大切にしたいのは、むしろこちらです。

美容室を出た瞬間より、その後の毎日の方が長い。

以前書いた、**「髪型は、セットした瞬間より、何もしない日に差が出る。」**という考え方にもつながります。

だからレイヤーも、その日の完成形だけではなく、日常の中でどう残るかを考えます。

高く入れすぎると、伸びたときに扱いづらくなることもある。

レイヤーをしっかり入れると、最初は動きが分かりやすく出ます。

写真でも変化が伝わりやすい。

ただ、髪質や毛量、普段のスタイリングによっては、高い位置から入れすぎることで、時間が経ったときに表面が軽くなりすぎたり、毛先とのつながりが悪く感じたりすることがあります。

逆に、レイヤーを低くしすぎれば、伸びても形は崩れにくい一方で、求めていた動きが出ないこともあります。

だから、

高いレイヤーがいい。
低いレイヤーがいい。

という話ではありません。

その人の髪と生活に対して、どこに入れるのがちょうどいいか。

そこを決めることの方が大切です。

顔まわりは、数センチ伸びただけでも印象が変わる。

特に慎重に考えるのが、顔まわりです。

頬骨のあたりに落ちていた髪が、数週間後には少し下へ移動する。

顎付近だった毛先が、その下へ伸びていく。

ほんの数センチですが、顔の見え方は変わります。

前髪も同じですが、顔に近い髪ほど、少し位置が変わるだけで印象への影響が大きい。

だから僕は、今きれいに見える場所だけではなく、

伸びたときに、次はどこへ落ちるか。

そこまで想像しながら顔まわりを作ります。

「毎日巻く人」と「ほとんど巻かない人」でも変わる。

レイヤーの入れ方を決める材料は、骨格や髪質だけではありません。

普段どれくらいスタイリングするかも重要です。

毎朝アイロンを使う人。

休日だけ巻く人。

乾かしてオイルをつけるくらいの人。

できれば何もしたくない人。

同じレイヤースタイルを見せてもらっても、この違いによって僕なら入れ方を変えます。

写真の髪型をそのまま再現することより、

その人の日常で再現できる形に置き換える。

その方が、結果的に長く扱いやすいと思っています。

レイヤーは、「次に切る日」までが一つのデザイン。

カットは、その日に完成して終わりではありません。

髪は翌日から少しずつ伸びていきます。

その変化まで完全に止めることはできません。

だからこそ、

今日きれいに見えること。
自分でも扱いやすいこと。
伸びてもバランスが大きく崩れないこと。

この3つをできるだけ両立させたい。

レイヤーは、入れた瞬間の動きだけを見ると、とても分かりやすい技術です。

でも本当に大切なのは、その先だと思っています。

次に美容室へ来る日まで、その髪で過ごすのはお客様自身だから。

僕がレイヤーを切るときに考えているのは、

「今日、どう見えるか」だけではなく、

「この先、どう伸びていくか」。

そこまで含めて、一つのヘアデザインだと思っています。

次回予告|Vol.025

次回は、

「ブリーチは、抜けた色より『次に何色にできるか』まで考える。」

について書こうと思います。

ブリーチは、どこまで明るくできたかだけで良し悪しが決まるものではありません。

残っている色素。
これまでのカラー履歴。
髪の体力。
そして、次にやりたい色。

一度の仕上がりだけではなく、その先まで考えてベースを作る。

次回は、僕がブリーチ施術で考えている**「次のカラーまで含めた設計」**について書きます。

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