「美容師なのに、香りの話?」
香りの話をすると、少し不思議そうな顔をされることがあります。
「美容師なのに、髪じゃなくて香りの話ですか?」
そんなふうに聞かれることもあります。
でも僕は、香りも清潔感の一部だと思っているんですよね。
見た目がどれだけ整っていても、近づいた瞬間に感じる香りで、その人の印象が少し変わることがあります。
だからこそ、髪と同じくらい、香りも印象をつくる大切な要素なんだと感じています。
現場で感じてきたこと
美容師は、お客様ととても近い距離で接する仕事です。
だからこそ、香りには自然と敏感になります。
シャンプーの香り。
柔軟剤の香り。
時には香水の香り。
良い意味でも、そうでない意味でも、不思議と記憶に残るんですよね。
「あの人、なんかいい匂いだったな。」
そんな印象は、思っている以上に長く残るものです。
一方で、香りが強すぎて、少し居心地の悪さを感じてしまう場面に出会うこともあります。
不思議なことに、髪型や服装はあまり思い出せなくても、香りだけははっきり覚えている。
そんなことは意外と少なくありません。
香りは、最後に届く印象
髪型や服装は、目で見て伝わります。
でも香りは、ある程度距離が近づいて初めて伝わるものです。
名刺交換をした瞬間。
隣に座った瞬間。
握手をした瞬間。
見た目の印象ができあがったあとに、そっと届くのが香りです。
だから僕は、香りは第一印象の**「最後のひと押し」**なんじゃないかなと思っています。
清潔感との関係
香りというと、香水を思い浮かべる方が多いかもしれません。
でも実は、清潔感に直結しているのは、もっと手前の部分だったりします。
シャンプーや柔軟剤の香りがふわっと香る程度。
あるいは、ほとんど無臭に近いくらい。
それくらいが、一番好印象につながることが多いんですよね。
逆に、汗や生活臭を隠したくて香水を強めにつけてしまうと、かえって印象を損ねてしまうこともあります。
香水が悪いわけではありません。
量やタイミングが少し合っていないだけのことも多いんです。
香りは、足していくものというより、整えていくもの。
清潔感というのは、見た目だけではなく、近づいたときに感じる空気まで含めて完成するものなんだと、僕は感じています。
今日からできること
特別なことをする必要はありません。
シャンプーや柔軟剤を、自分に合う香りのものに変えてみる。
香水をつけているなら、つけすぎていないか、一度身近な人に聞いてみる。
汗をかいた日は、香りでごまかす前に、まず汗そのものをケアする。
それだけでも、印象はずいぶん変わるはずです。
自分では慣れてしまって気づきにくい部分だからこそ、たまに誰かの意見を聞いてみるくらいが、ちょうどいいのかもしれません。
そして、特別な香りを探すより、自分自身が心地いいと思える香りを見つけること。
それが、一番自然にその人らしさにつながるような気がしています。
香りも、その人らしさをつくる。
髪も。
眉も。
姿勢も。
服も。
そして、香りも。
目には見えないものだからこそ、印象を大きく左右しているのかもしれません。
香りは、その人らしさを静かに引き立てる、最後のひとつなんだと僕は思っています。
次回予告
grit.JOURNAL Vol.009
「言葉より先に、声のトーン。」
人は、話し始める前から印象を受け取っています。
次回は、会話の内容ではなく、その一歩手前にある「声」という視点から、印象について書いてみようと思います。
